私立保育園で、０歳から５歳クラスの担任として子どもの保育を行いました。
その他、保育記録や保育計画等の書類。研修への参加と資料作り。
必要箇所の清掃や安全に過ごすための環境整備も行いました。

12年間働いてきた中で、園長が変わり方針が変わり良い変化も沢山あって充実していましたが、その分仕事も増えてやらなければならない事に追われるようになり、さらに保育士同士の考えの違いがすれ違いとなりストレスを感じ始めてしまいました。
以前は日々忙しいながらにも子どもとの関わりを大切にできていましたが、可愛い姿や成長を見逃している事に気づき、子ども達に余裕を持って接することが難しくなっているなと感じるようになったため、退職して一度冷静に保育について考えたいと思い退職しました。

0歳児クラスの保育は、子どもたちが健やかに成長する手助けをするために細かい環境整備をしたり、人間形成の第一歩となるよう丁寧な関わりを心がけたりと、こだわりを持って保育していたので、続けたかったと思います。

保育園ではない一般の企業でしたが、保育士を募集していたため目に止まりました。
保育士としての経験が役に立つと考えたため、入社を決めました。

月刊保育絵本をクラス単位で採用してもらうために、アドバイザーとして保育園や幼稚園などの施設に訪問し、保育絵本の読み聞かせを行なったり職員の方に内容の説明をしたりする業務。
採用していただいた園へは、毎月その月の絵本の内容や活用の仕方をまとめたチラシを作成して配布し、感想や意見を伺って本社へ報告する。
時には職員の方や保護者に向けて絵本をテーマにした講習会を開催していました。

基本的には一人で活動するのですが、同じアドバイザーが6人ほど全国に配置されていて研修や電話連絡で情報交換し協力して活動できていたので、孤独を感じることなく過ごせていたことはイメージと違って良かった点です。

絵本が好きでこの仕事に就きましたが、絵本は絵本でも保育絵本だった事が辛さの原因になりました。
私は物語絵本が好きで、読み聞かせをする事で子どもが自由にその物語の世界に入って主人公になりきる事が絵本の楽しみ方だと思っています。
けれども、保育絵本は、絵本を使って何かを学ばせようという目的がある点や、工作のコーナーでは全員同じものが完成するという点に、子どもたちに必要な絵本なのかと違和感を感じてしまいました。

自分が必要を感じない物をおすすめして買ってもらうという点に辛さを感じるようになり悩みました。
一旦は、仕事と割り切るようにしたり、私は必要とは思わないけど決して悪い物ではないと納得しようとしたりしましたが、最終的には辞める選択をしました。

絵本について勉強できた部分と絵本を作製していく過程を知る事ができた部分です。
人に勧めるために、様々な絵本について学ぶ事ができました。作家の方の想いや過ごしてきた人生、挿絵の意味、余白の意味、文章や言い回しの意味など、それまで何となく読んでいた絵本も、掘り下げると沢山の想いが詰まっていることを知り、それまで以上に絵本について興味が湧くようになりました。
絵本を作製していく過程についても、時間をかけてこだわりを持ちながら完成させていく様子を知って、完成した絵本を手に取った時の重みを実感するようになりました。

成功。

結果的には辞めてしまいましたが、それまでいた保育の実践の場から外に出て客観的に自分のいた世界を見つめる事ができたので、良かったと思います。
自分自身の保育や子どもにとって大切な事を改めて考える事ができ、頭の整理が出来たことで子どもや保育という仕事の魅力を更に認識できるようになりました。
保育とかけ離れた会社に就職していたら、そのような見方は出来なかったと思います。

園へ訪問すると園長先生や主任さんと保育や絵本についてお茶やお菓子をいただきながらゆっくりお話しできる機会があります。
子どもたちの可愛い姿を聞くと心が和みます。保育の現場にいるとそういう話よりも、仕事としての報連相が会話の中心となり、子どもの話をするにしても困った子への対応はどうするかということの方が多かったので、可愛い姿を話して笑い合うという時間はなかなか持てませんでした。
そういった時間が楽しかったと思います。
また、出していただくお茶やお菓子も有名店のものや珍しいお菓子など知らない物ばかりで、こんな美味しいものがあるのだとありがたみを感じながら頂いていたのも楽しみの一つでした。

それまで保育の世界しか知らなかったため狭い世界だなと感じていましたが、会社という組織に入り社会の仕組みを知り、経験してこなかった事を新たに経験できた事が良かったと思える部分です。
さまざまな園へ訪問しお話を聞かせていただく中で、どの園でも子どもへの熱い想いを持ってそれぞれの特徴や歴史を活かしながら保育をされているのだという事を学べた点も良かったと思います。
広い世界を知った上でどの部分に自分がいるのかという事を理解して行動するという事が学びとなりました。