障害を持つ弟の生活を支えるために：専門家が教える、できることを増やすための具体的な工夫
障害を持つ弟の生活を支えるために：専門家が教える、できることを増やすための具体的な工夫
この記事では、17歳の知的・身体障害を持つ弟さんの生活を支えるため、今後できることが減らないように、また、少しでも増えるようにするための具体的な工夫について、専門家としての視点からアドバイスをさせていただきます。弟さんの現在の状況と、ご家族の抱える不安を理解した上で、どのように対応していくのが良いのか、一緒に考えていきましょう。
障害者の弟の出来ない事が増えていきます。
弟は17になります。生まれつきの水頭症、早生まれ（？）の影響か知的障害（読み書き、簡単な計算はできますが会話はほとんどしません）と身体障害（走ることができない、歩きがぎこちない、しゃがめないなど）、自閉症などがあります。
昔はそれなりに素直に言う事も聞き、できないことはほとんど母親、時たま私が手伝って彼の世話をして生活していました。
弟が中学～卒業したあたりでしょうか。正確にはまったく覚えていないのですが、こだわりからキレることが増えてきました。物にあたって、はさみを思い切り投げたり、液晶テレビを駄目にしたり、気に入らないことがあるとすぐに怒りだします。（自閉症ですので、こだわりも強いです）
歯磨きが出来なくなったので歯医者に通っていたのですが、院内で暴れるような始末です。
体は比較的小さいとはいえ、17歳ですので、暴れると無理矢理押さえつけるのも一苦労です。
本題ですが、ここ最近弟が自分で浴槽に入る際に滑ってしまったのがトラウマなのか、浴槽に入るのを完全にあきらめてしまいました。
抱っこをしても怒りだすので無駄なようです。
それだけではなく、風呂場から出ようとするときも多少滑って怖い思いをしたからか、浴槽に手をかけて立ったまま完全に動けなくなるということがありました。
手をとって一緒に出ようとしたり、抱っこしようとしても呼吸が荒くなり怒りだすので無理でした。
立ったまま、足を震わせて怯えています。
椅子をおいて1時間弱たった後にやっと座ることができました。
そのまま座ったまま、しばらく動こうともしませんでしたが…
私はこのような事が今後も続くと思うとゾッとしてしまいます。
歯磨きもしなくなる、お風呂は怖いから浴槽には入らない、怖い思いをしたら歩けない、何もできません
母親もこのような事があると精神的に参ってしまい見てられません
多少厳しく、「怖がっててもしょうがないよ、自分で動きなさい」というべきなのか（言っても絶対に聞きませんが）、こちらが出来る対策をすべて取り、弟が安心して生活できるだけの環境を目指すべきなのか
冗長になってしまいましたが、同じような経験のある方など、今後の生活で出来なくなることが少しでも増えないように、また減るようにする工夫があれば教えてください。
1. 弟さんの現状を理解する
まず、弟さんの現状を深く理解することが重要です。17歳という年齢は、心身ともに成長する大切な時期であり、同時に、様々な変化に直面する時期でもあります。知的障害、身体障害、自閉症という特性に加え、思春期特有の感情の揺れ動きも加わり、対応が難しくなることは当然のことです。
弟さんのこれまでの成長過程を振り返り、どのようなことが得意で、どのようなことが苦手なのかを改めて整理しましょう。そして、現在の生活の中で、何が不安で、何がストレスになっているのかを把握することが、今後の対応策を考える上で不可欠です。
2. 環境を整える：安心できる空間作り
弟さんが安心して生活できる環境を整えることは、非常に重要です。具体的には、以下の点を意識しましょう。
- 安全な住環境の確保: 浴槽での転倒がトラウマになっているとのことですので、まずは浴室の安全性を高めることから始めましょう。滑り止めマットの設置、手すりの取り付け、入浴補助具の利用などを検討してください。
- ルーティン化: 自閉症の特性を持つ弟さんの場合、予測可能なルーティンは安心感につながります。入浴、歯磨き、食事など、毎日の行動をできる限り同じ時間、同じ方法で行うようにしましょう。
- コミュニケーション: 言葉でのコミュニケーションが難しい場合、視覚的な情報（絵カード、写真など）を活用しましょう。例えば、入浴の手順を絵で示したり、歯磨きのステップを写真で説明したりすることで、弟さんの理解を助けることができます。
- 落ち着ける場所の確保: 弟さんが落ち着ける場所、安心できる空間を確保することも大切です。例えば、静かに過ごせる部屋や、好きなものに囲まれたスペースを用意してあげましょう。
3. 行動への理解と対応：焦らず、寄り添う姿勢
弟さんの行動に対して、焦らず、寄り添う姿勢で接することが大切です。こだわりやパニックが起きた場合、まずは落ち着いて、弟さんの気持ちを理解しようと努めましょう。そして、以下の点に注意して対応してください。
- 感情の理解: 弟さんがなぜ怒っているのか、何が不安なのかを理解しようと努めましょう。言葉で表現できない場合でも、表情や行動から弟さんの気持ちを読み取ることが重要です。
- 共感: 弟さんの気持ちに共感し、「怖いね」「嫌だったね」など、言葉で伝えてあげましょう。共感を示すことで、弟さんは安心感を得ることができます。
- 冷静な対応: 弟さんがパニックを起こした場合でも、冷静に対応しましょう。大声を出したり、無理に押さえつけたりすることは避け、落ち着いて弟さんのそばに寄り添いましょう。
- 代替行動の提案: 弟さんができないことに対して、すぐに「ダメ」と言うのではなく、代替となる行動を提案してみましょう。例えば、浴槽に入るのが怖い場合、シャワーを浴びることから始めるなど、段階を踏んで慣れていく方法を試してみましょう。
- 専門家のサポート: 弟さんの行動について、専門家（医師、心理士、作業療法士など）に相談し、アドバイスを求めることも有効です。専門家は、弟さんの特性に合わせた具体的な対応策を提案してくれます。
4. 家族のサポート体制：無理のない範囲で
弟さんのサポートには、ご家族の協力が不可欠です。しかし、ご家族だけで全てを抱え込むことは、精神的な負担が大きくなってしまいます。無理のない範囲で、以下のサポート体制を整えましょう。
- 情報共有: 弟さんの状況や対応について、家族間で情報を共有し、連携を取りましょう。
- 役割分担: 弟さんのケアについて、役割分担を決めることで、負担を分散することができます。
- 休息時間の確保: 家族それぞれが、自分のための休息時間を確保することが重要です。
- 相談できる相手の確保: 困ったことや悩みを相談できる相手（親族、友人、専門家など）を確保しておきましょう。
- 専門機関の利用: 地域の相談支援事業所や、障害者支援センターなどの専門機関を利用することも検討しましょう。
5. 長期的な視点：できることを増やしていくために
弟さんの成長は、長期的な視点で見ていく必要があります。焦らず、一歩ずつ、できることを増やしていくことを目指しましょう。具体的には、以下の点を意識しましょう。
- スモールステップ: 大きな目標を立てるのではなく、小さな目標を立て、達成感を積み重ねていくことが重要です。
- 成功体験の積み重ね: 弟さんができるようになったことを褒め、成功体験を積み重ねることで、自信を育むことができます。
- 新しい挑戦: 弟さんの興味や関心に合わせて、新しいことに挑戦する機会を与えましょう。
- 社会参加: 弟さんが社会とつながり、様々な経験を積むことができるように、地域活動やイベントへの参加を促しましょう。
- 継続的な学び: 弟さんの特性や、発達段階について、継続的に学び続けることが大切です。
弟さんの成長をサポートするためには、ご家族の愛情と、適切なサポート体制が不可欠です。困難な状況ではありますが、諦めずに、弟さんの可能性を信じて、共に歩んでいきましょう。
6. 具体的な工夫：入浴と歯磨きについて
ご相談内容にあった、入浴と歯磨きに関する具体的な工夫をいくつかご紹介します。
入浴に関する工夫
- 安全対策の徹底: 浴室の滑り止めマット、手すりの設置、浴槽への出入りをサポートするステップ台などを導入し、転倒のリスクを最小限に抑えましょう。
- 入浴方法の工夫: 浴槽に入ることに抵抗がある場合は、シャワーから始める、または、座って入れる浴槽用の椅子を使用するなど、段階的に慣れていく方法を試しましょう。
- 温度管理: 熱すぎるお湯は、パニックを引き起こす可能性があります。適温に保ち、入浴前に温度を確認しましょう。
- 視覚的な情報: 入浴の手順を絵カードや写真で示し、視覚的に理解できるようにしましょう。
- リラックスできる工夫: アロマオイルを使用したり、好きな音楽を流したりするなど、リラックスできる環境を整えましょう。
- 声かけ: 入浴中は、安心できる声かけを心がけましょう。「大丈夫だよ」「ゆっくり入ろうね」など、優しく声をかけることで、弟さんの不安を軽減することができます。
歯磨きに関する工夫
- 歯磨きの習慣化: 毎日同じ時間帯に歯磨きをするようにし、ルーティン化を図りましょう。
- 歯ブラシの選択: 弟さんの口の大きさに合った歯ブラシを選び、持ちやすいように工夫しましょう。
- 歯磨き粉の選択: 刺激の少ない歯磨き粉を選びましょう。味が苦手な場合は、無味無臭の歯磨き粉を試してみるのも良いでしょう。
- 視覚的な情報: 歯磨きのステップを絵カードや写真で示し、視覚的に理解できるようにしましょう。
- 褒める: 歯磨きを頑張ったら、たくさん褒めてあげましょう。
- 専門家への相談: 歯磨きがどうしても難しい場合は、歯科医や歯科衛生士に相談し、適切なアドバイスを受けましょう。
これらの工夫はあくまでも一例です。弟さんの個性や状況に合わせて、柔軟に対応していくことが大切です。
7. 専門家への相談：更なるサポートのために
上記の方法を試しても、状況が改善しない場合は、専門家への相談を検討しましょう。専門家は、弟さんの状況を詳しく評価し、適切なアドバイスやサポートを提供してくれます。相談できる専門家としては、以下のような機関が挙げられます。
- 医師: 精神科医や発達障害専門医は、弟さんの状態を診断し、必要に応じて薬物療法などの治療法を提案してくれます。
- 心理士: 心理士は、弟さんの心理的な状態を評価し、カウンセリングや行動療法などの心理療法を提供してくれます。
- 作業療法士: 作業療法士は、弟さんの日常生活動作の改善をサポートし、具体的な方法を指導してくれます。
- 言語聴覚士: 言語聴覚士は、弟さんのコミュニケーション能力の向上をサポートし、言葉の発達を促すための訓練を行います。
- 相談支援事業所: 地域の相談支援事業所は、障害のある方の様々な相談に応じ、適切なサービスを紹介してくれます。
- 障害者支援センター: 障害者支援センターは、障害のある方の自立と社会参加を支援するための様々なサービスを提供しています。
専門家への相談は、弟さんのより良い生活をサポートするための、有効な手段の一つです。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることも検討しましょう。
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8. まとめ：共に歩む道
弟さんの状況は、ご家族にとって大変なご苦労があることと思います。しかし、諦めずに、弟さんの可能性を信じ、共に歩んでいくことが大切です。今回の記事でご紹介した方法を参考に、弟さんが安心して生活できる環境を整え、できることを増やしていくためのサポートを続けていきましょう。
そして、ご家族だけで抱え込まず、専門家や地域のサポートを活用しながら、無理のない範囲で、弟さんの成長を見守りましょう。困難な状況ではありますが、必ず道は開けます。弟さんと共に、笑顔あふれる未来を築いていくことを心から応援しています。
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