88歳のお父様の認知症と相続問題…専門家が教える、今からできることと将来への備え
88歳のお父様の認知症と相続問題…専門家が教える、今からできることと将来への備え
今回の記事では、認知症のお父様を持つご家族が直面する可能性のある法的・経済的な問題について、具体的な対策と将来への備えを解説します。特に、生前後見制度の活用や、資産管理、そしてご家族間のコミュニケーションの重要性について焦点を当てていきます。
久々の投稿で失礼します。今年の4月に母が他界しまして現在 父、姉、私と3人で暮らしております。父は現在88歳で現在身体は元気です。しかし 物忘れが以上に激しく 親子3人とかで地元で外食などすると長年住み慣れた自分の町でも帰り道が判らなくなってしまい 現在 要介護2になっております。（戦争経験世代で この世代はほんと身体が強いです）しかし 逆に心配なのはこのまま（身体が丈夫で）認知症が進んでいくとすると徘徊などがもし始まってしまったら捜索願いは確実だと思います。
と、ここまでは一応 父の容態の序文で 本題はお金の話でして 父は現在家のすぐ隣にある信用金庫がメインバンクでそちらに 数千万円の預金があります。昔から地元で商売をしてまして 今の所お金に関してはトラブルはないのですが 父がつけている 店の帳簿などを見ると全くめちゃくちゃでして（家が頼んでいる税理士さんに相談したところ もう帳簿は必要なく 私が申告の時 だいたい生活していく上でなににいくら位かかったのか簡単に教えてくれれば 長年のおつきあいで判ってるのでそれで申告しましょう。）と言う話になりました。現在 店の売り上げはほとんど毎日0円で 本音を言えば もうお店をたたんでそこを賃貸にしたいのですが 誰に相談しても「今 父から店や帳簿付けを奪ってしまうと認知症がどんどん進んでしまうので 今はしかたないけど我慢するしかないよ」と言われます。
そんな話のなかから 生年後継人の話が出てきたのですが いろいろ調べたのですが正直どうすればいいのか判らず困っています。いまのところ父が原因でお金のトラブルなどはないですし 私が後継人になるのも十分可能ですが そうなると 父が個人で預金してあるお金など自由に出来なくなり その他の事でも私が介入する事になり それは彼のプライドが許さないのが 当たり前に想像出来ます。（また 現状そこまで信頼出来る第三者もいません）
母が他界した時に 口座の凍結の解除でえらく大変な思いをしたので ご相談させて頂いております。（信用金庫さんも税理士さんも 生年後継人はたてたほうがいいと仰ってはいるのですが）どうしたものでしょうか？ ご質問させて下さい。
P,S 生年後継人に関しては 最近勉強を致しましたので 私のご質問で間違っているところもあるかもしれません。 そのへんも もしありましたらご指摘下さい。 長々と申し訳ありませんでした。
1. 認知症の進行と法的リスク：今、親御さんのためにできること
88歳のお父様が認知症の兆候を見せ始め、将来的な資産管理や生活に不安を感じていらっしゃるのですね。まずは、現状を整理し、将来起こりうるリスクと、それに対する具体的な対策を考えていきましょう。
1-1. 認知症の進行に伴うリスク
認知症が進むにつれて、判断能力の低下は避けられません。これにより、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
- 財産管理能力の喪失：預貯金の管理、不動産の売買、契約行為などが困難になる。
- 詐欺被害：悪質な業者による詐欺や不当な契約に巻き込まれる可能性が高まる。
- 介護サービスの利用に関する問題：適切な介護サービスを選択し、契約することが難しくなる。
- 法的トラブル：遺言書の作成や相続に関する意思決定が困難になる。
1-2. 早期に対策を講じる重要性
これらのリスクを回避するためには、認知症の早期段階から対策を講じることが重要です。判断能力が完全に失われる前に、法的手段や資産管理の方法を検討し、準備を進める必要があります。
2. 生前対策の選択肢：生前後見制度と任意後見制度
ご相談者様が検討されている「生前後見制度」について、詳しく見ていきましょう。生前後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。
2-1. 法定後見制度
法定後見制度は、すでに判断能力が低下した場合に、家庭裁判所が成年後見人を選任する制度です。成年後見人は、本人の財産管理や身上監護を行います。しかし、この制度は、本人の意思が反映されにくいという側面もあります。
- 後見開始の申立て：親族や市区町村長などが家庭裁判所に申立てを行います。
- 成年後見人の選任：家庭裁判所が、本人の状況や親族の意向などを考慮して成年後見人を選任します。弁護士や司法書士などの専門家が選ばれることが多いです。
- 後見人の職務：財産管理（預貯金の管理、不動産の管理など）と身上監護（介護サービスの契約、医療行為への同意など）を行います。
2-2. 任意後見制度
任意後見制度は、本人が判断能力のあるうちに、将来の判断能力の低下に備えて、あらかじめ後見人となる人（任意後見受任者）と契約を結んでおく制度です。本人の意思を尊重した財産管理や身上監護が可能になります。
- 任意後見契約の締結：本人が、任意後見受任者（親族や専門家）との間で、公正証書で契約を結びます。
- 任意後見監督人の選任：家庭裁判所が、任意後見契約が適切に履行されているか監督する任意後見監督人を選任します。
- 後見開始：本人の判断能力が低下した場合に、家庭裁判所が任意後見監督人からの申立てにより、任意後見が開始されます。
- 後見人の職務：契約内容に基づいて、財産管理や身上監護を行います。
3. 任意後見制度のメリットとデメリット
任意後見制度は、ご相談者様のお父様の状況に合致する可能性のある選択肢です。メリットとデメリットを比較検討し、最適な方法を見つけましょう。
3-1. 任意後見制度のメリット
- 本人の意思を尊重：本人が後見人を選び、契約内容を決定できるため、本人の意思を反映した財産管理や生活支援が可能です。
- 柔軟な対応：契約内容を自由に設定できるため、本人の状況やニーズに合わせて柔軟に対応できます。
- 家族間の連携：親族を後見人に選任することで、家族が協力して本人の生活を支える体制を築けます。
3-2. 任意後見制度のデメリット
- 契約締結の手間：公正証書を作成する必要があり、専門家への相談や費用が発生します。
- 監督人の存在：任意後見監督人が選任され、後見人の職務を監督するため、ある程度の制約があります。
- 契約内容の変更：契約内容を変更するには、本人の判断能力が必要であり、困難な場合があります。
4. 任意後見制度の具体的な手続きと注意点
任意後見制度を利用する際の具体的な手続きと、注意すべき点について解説します。
4-1. 手続きの流れ
- 専門家への相談：弁護士や司法書士などの専門家に相談し、制度の概要や手続きについて説明を受けます。
- 任意後見受任者の選定：後見人となる人を選びます。信頼できる親族や、専門家を選ぶことができます。
- 契約内容の決定：財産管理の方法、身上監護の内容など、契約内容を決定します。
- 公正証書の作成：公証役場で、任意後見契約を公正証書で作成します。
- 任意後見監督人の選任：家庭裁判所が、任意後見監督人を選任します。
- 任意後見の開始：本人の判断能力が低下した場合に、任意後見が開始されます。
4-2. 注意点
- 信頼できる後見人の選定：後見人には、財産管理や身上監護に関する責任が生じます。信頼できる人を選びましょう。
- 契約内容の明確化：契約内容を具体的に定め、将来的なトラブルを回避しましょう。
- 専門家との連携：弁護士や司法書士などの専門家と連携し、適切なサポートを受けましょう。
5. 資産管理とプライバシーの保護：父親の尊厳を守るために
任意後見制度を利用する際、お父様のプライバシーを尊重しつつ、適切な資産管理を行う方法について考えてみましょう。
5-1. 財産管理の方法
- 預貯金の管理：定期的な収支の報告や、本人の意向を確認しながら、預貯金を管理します。
- 不動産の管理：賃貸契約の更新や、修繕費の支払いなど、不動産の管理を行います。
- 投資：本人のリスク許容度や意向を考慮し、適切な投資を行います。
5-2. プライバシーの保護
- 情報開示の範囲：親族間で情報を共有する範囲を決め、本人のプライバシーを保護します。
- 本人の意向の尊重：財産管理や生活支援に関する決定は、本人の意向を尊重し、可能な限り本人の意思を反映させます。
- 第三者への配慮：金融機関や介護サービス事業者など、第三者に対しては、必要な範囲で情報開示を行い、本人のプライバシーを保護します。
6. 家族間のコミュニケーションと協力体制の構築
お父様の認知症が進む中で、家族間のコミュニケーションと協力体制を築くことが、非常に重要です。
6-1. コミュニケーションの重要性
- 情報共有：お父様の状況や、財産管理に関する情報を、家族間で共有します。
- 意思疎通：お父様の意向を尊重し、積極的にコミュニケーションを図ります。
- 感情的なサポート：お父様の不安や悩みに寄り添い、精神的なサポートを行います。
6-2. 協力体制の構築
- 役割分担：家族間で役割分担を行い、それぞれの負担を軽減します。
- 定期的な話し合い：定期的に家族会議を開き、現状や今後の対策について話し合います。
- 専門家との連携：弁護士やケアマネージャーなどの専門家と連携し、適切なサポートを受けます。
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7. 専門家への相談とサポート体制の構築
認知症に関する問題は、専門的な知識が必要となる場合があります。弁護士や司法書士、ケアマネージャーなどの専門家への相談を検討しましょう。
7-1. 相談すべき専門家
- 弁護士：法的問題や、任意後見契約に関する相談ができます。
- 司法書士：任意後見契約の作成や、不動産登記に関する相談ができます。
- ケアマネージャー：介護保険サービスに関する相談や、介護計画の作成をサポートします。
- 税理士：相続税や、資産管理に関する相談ができます。
7-2. サポート体制の構築
専門家との連携に加え、地域包括支援センターや、介護保険サービスなど、様々なサポート体制を活用しましょう。
- 地域包括支援センター：高齢者の総合的な相談窓口として、様々な情報提供や支援を行います。
- 介護保険サービス：介護保険を利用して、介護サービスや、福祉用具の利用ができます。
- NPO法人やボランティア団体：認知症に関する情報提供や、家族向けのサポートを行っている団体もあります。
8. 今後の具体的なステップと、心の準備
最後に、今からできる具体的なステップと、心の準備について解説します。
8-1. 今後の具体的なステップ
- 情報収集：任意後見制度に関する情報を収集し、理解を深めます。
- 専門家への相談：弁護士や司法書士などの専門家に相談し、具体的なアドバイスを受けます。
- 家族会議：家族で話し合い、今後の対策について検討します。
- 任意後見契約の締結：任意後見制度を利用する場合は、契約手続きを進めます。
- 定期的な見直し：定期的に状況を見直し、必要に応じて対策を更新します。
8-2. 心の準備
認知症は、ご本人だけでなく、ご家族にとっても大きな負担となります。しかし、適切な準備とサポート体制を整えることで、安心して、より良い未来を築くことができます。
- 現実を受け入れる：認知症の進行を受け入れ、現実的な対策を講じましょう。
- 情報収集：認知症に関する情報を積極的に収集し、知識を深めましょう。
- サポート体制の構築：家族や専門家との連携を強化し、サポート体制を築きましょう。
- 心のケア：ご自身の心の健康を保ち、ストレスを軽減する方法を見つけましょう。
今回の記事が、ご相談者様と、同じような状況にある方々にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。
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