高機能発達障害を持つ息子の高校進学：特別支援学校、普通科、通信制…最適な選択肢を見つけるには？
高機能発達障害を持つ息子の高校進学：特別支援学校、普通科、通信制…最適な選択肢を見つけるには？
静岡県東部在住の方から、高機能発達障害と診断された息子さんの高校進学に関するご相談をいただきました。小学校時代から支援学級に在籍し、現在は中学の支援学級に通っているものの、特別支援学校（高校）への進学が難しい状況です。普通科への転校を勧められているものの、本人の不安や、通常授業への対応への懸念があり、悩んでいらっしゃいます。
静岡県東部在住の者です。
障害有りと診断された息子（次男）の高校進学に関して、何か良い方法があればお教え下さい。
小学校３～４年の時に、授業中上の空であったり、注意すると固まってしまうとの事で大学病院での診察を担任の先生に勧められ受診しました。
結果、『高機能広汎性発達障害』との診断を下され、
①自分の興味が最優先となってしまうので、皆と同じ行動が出来ない時がある。
②文章作成能力が一般より低く、叱られた時等正当な理由があっても説明できず、固まった状態になってしまう。
③何かされてもやり返す性格でなく自傷傾向がある。
④心身の発達が同年齢の子よりも遅く、運動が不得手なので鈍臭い印象になってしまう。
等といった話をされました。
５年生のに時、同級生から嫌な思いをしていたのが分かり支援学級（情緒クラス）に異動してもらいました。
中学も支援学級があり定評のある学区に引越しをして現在支援級（情緒）に通っていますが、特別支援学校（高校）に進学するのであれば療育手帳をもらわなければ入れないと担任の先生に言われ、県の担当職員の方に検査して貰ったのですが、ＩＱが一定レベル以上との事で途中で検査を中止されてしまいました。
検査された県職員の方が言うには、特別支援学校（高校）はＩＱが高くて入学不可能なので、通常の高校を受ける為（支援学級は内申書が貰えず受ける事が出来ないので）、普通級に戻す様言われました。
普通級でのいじめや通常授業に対応出来ないので支援学級（情緒）に通っているのに普通級に戻すのは心配で、本人も普通級には移りたくないと言っています。
支援学級から入る事が出来る高校があれば（通信制も調べていますが、病名を言っても学校側が対応出来るかどうかを教えてくれません）教えて頂ければと思い質問させて頂きます。
長文失礼致しました。
この記事では、高機能発達障害を持つお子さんの高校進学という、非常にデリケートで重要な問題について、様々な選択肢を比較検討し、それぞれのメリットとデメリットを詳しく解説します。特別支援学校、普通科、通信制高校など、具体的な進路の可能性を探り、お子さんの特性に合った最適な選択肢を見つけるための具体的なアドバイスを提供します。
1. 特別支援学校（高等部）への進学：可能性と課題
特別支援学校（高等部）は、知的障害や発達障害など、特別な支援を必要とする生徒のために設置された学校です。しかし、ご相談者のお子さんの場合、IQが高いことがネックとなり、入学が難しい状況です。
1-1. 特別支援学校の入学基準
特別支援学校の入学基準は、学校や地域によって異なりますが、一般的には、知的発達の遅れや、学習・行動面での困難さなどが考慮されます。IQだけでなく、日常生活能力や、コミュニケーション能力なども評価の対象となります。ただし、IQが高い場合でも、他の特性によって特別支援学校が適していると判断されるケースもあります。例えば、自閉スペクトラム症（ASD）の特性が強く、集団生活や学習に困難を抱えている場合などです。
1-2. 入学を検討する上でのポイント
- 学校見学と相談：気になる特別支援学校があれば、積極的に学校見学を行い、学校の先生や担当者と相談しましょう。お子さんの現状や、学校の教育方針について詳しく話を聞き、入学の可能性を探ることが重要です。
- 専門家との連携：医師や、臨床心理士、特別支援教育の専門家など、専門家と連携し、お子さんの特性や必要な支援について詳しく把握しましょう。専門家からの意見は、学校との交渉や、進路選択の判断材料となります。
- 入学試験の対策：特別支援学校によっては、入学試験が実施される場合があります。試験内容や、対策について、学校に問い合わせて確認しましょう。
1-3. 特別支援学校のメリットとデメリット
特別支援学校には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
- 個別の支援：一人ひとりの特性に合わせた、きめ細やかな教育と支援が受けられます。
- 専門的な知識を持つ教員：発達障害や、学習障害に関する専門的な知識を持つ教員が在籍しています。
- 安心できる環境：少人数制のクラスや、落ち着いた環境で、安心して学習できます。
- 進路指導：卒業後の進路についても、きめ細やかな指導と支援が受けられます。
デメリット
- 選択肢の制限：進学できる学校が限られる場合があります。
- 社会との隔たり：一般の学校との交流が少なく、社会とのつながりが薄れる可能性があります。
- 学校の距離：自宅から学校までの距離が遠い場合があります。
2. 普通科高校への進学：課題と対策
普通科高校は、幅広い学習内容を学ぶことができる学校です。しかし、高機能発達障害のお子さんにとっては、授業への集中や、人間関係、学習内容の理解など、様々な面で困難が生じる可能性があります。
2-1. 普通科高校に進学する上での課題
- 授業への集中：授業中に集中力を維持することが難しい場合があります。
- 学習内容の理解：抽象的な概念の理解や、文章の読解に困難を感じることがあります。
- 人間関係：コミュニケーション能力の課題や、周囲との価値観の違いから、人間関係で悩むことがあります。
- 情報過多：学校生活における様々な情報（時間割、宿題、持ち物など）を整理し、管理することが難しい場合があります。
2-2. 普通科高校でのサポート体制
近年、普通科高校でも、特別支援教育への理解が進み、様々なサポート体制が整ってきています。学校によっては、以下のようなサポートが受けられます。
- 特別支援コーディネーター：発達障害や、学習障害に関する専門知識を持つ教員が、生徒のサポートを行います。
- 学習支援：授業内容の理解を助けるための、個別指導や、グループワークなどが行われます。
- 合理的配慮：授業中の席の配置、課題の調整、試験時間の延長など、個々のニーズに合わせた配慮が受けられます。
- 相談体制：スクールカウンセラーや、担任の先生など、相談できる体制が整っています。
2-3. 普通科高校への進学を検討する上でのポイント
- 学校見学と情報収集：気になる高校があれば、積極的に学校見学を行い、特別支援教育に関する取り組みや、サポート体制について詳しく確認しましょう。
- 担任の先生との連携：現在の担任の先生と連携し、高校進学に向けて、必要な支援や、対策について話し合いましょう。
- 本人との話し合い：お子さんの希望や、不安な点について、じっくりと話し合い、本人の意思を尊重しましょう。
- 体験入学：気になる高校の体験入学に参加し、学校の雰囲気や、授業の様子を体験してみましょう。
- オープンキャンパス：オープンキャンパスに参加し、在校生や先生と交流し、学校生活について詳しく聞いてみましょう。
2-4. 普通科高校のメリットとデメリット
普通科高校には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
- 幅広い学習内容：様々な分野の学習を通して、知識や教養を深めることができます。
- 多様な進路：大学進学、専門学校進学、就職など、多様な進路を選択できます。
- 社会とのつながり：様々な価値観を持つ人々と交流し、社会性を身につけることができます。
デメリット
- 授業への対応：授業内容が難しく、授業についていくのが大変な場合があります。
- 人間関係：周囲とのコミュニケーションがうまくいかず、孤立してしまうことがあります。
- 情報過多：学校生活における様々な情報を整理し、管理することが難しい場合があります。
3. 通信制高校：柔軟な学び方と可能性
通信制高校は、自宅学習が中心となる学校です。自分のペースで学習を進めることができ、様々な事情を抱える生徒にとって、柔軟な学び方を提供しています。
3-1. 通信制高校の種類
通信制高校には、大きく分けて以下の2つの種類があります。
- 公立通信制高校：学費が安く、地域密着型の教育が特徴です。
- 私立通信制高校：学習内容や、サポート体制が充実しており、様々なコースが用意されています。
3-2. 通信制高校のメリット
- 自分のペースで学習：自分のペースで学習を進めることができ、時間や場所にとらわれずに学習できます。
- 多様な学習スタイル：インターネットを活用した学習、スクーリング、個別指導など、様々な学習スタイルを選択できます。
- 人間関係の悩み軽減：対面での授業が少ないため、人間関係の悩みから解放されることがあります。
- 柔軟な時間割：自分の生活スタイルに合わせて、時間割を組むことができます。
- サポート体制：担任の先生や、スクールカウンセラーなど、相談できる体制が整っています。
3-3. 通信制高校のデメリット
- 自己管理能力：自己管理能力が必要となり、計画的に学習を進める必要があります。
- 孤独感：自宅学習が中心となるため、孤独感を感じることがあります。
- 情報収集：学校に関する情報を、自分で積極的に収集する必要があります。
- 卒業後の進路：卒業後の進路について、自分で積極的に情報収集し、準備する必要があります。
3-4. 通信制高校を選ぶ上でのポイント
- 学校選び：学校の教育方針、学習内容、サポート体制などを比較検討し、自分に合った学校を選びましょう。
- スクーリング：スクーリングの頻度や、内容を確認し、無理なく参加できる学校を選びましょう。
- サポート体制：担任の先生との連携、スクールカウンセラーの有無など、サポート体制が充実している学校を選びましょう。
- 進路指導：卒業後の進路に関する、サポート体制を確認しましょう。
- 体験入学：体験入学に参加し、学校の雰囲気や、学習内容を体験してみましょう。
4. 進路選択における親御さんの役割
お子さんの進路選択において、親御さんの役割は非常に重要です。お子さんの特性を理解し、適切なサポートを提供することで、お子さんが自分らしく、充実した高校生活を送ることができるように支援しましょう。
4-1. お子さんの特性の理解
お子さんの強みや、弱みを理解し、どのような環境が適しているのかを考えましょう。医師や、専門家からの意見を参考に、お子さんの特性を客観的に把握することが重要です。
4-2. 情報収集
様々な学校の情報や、支援制度について、積極的に情報収集を行いましょう。学校説明会や、相談会に参加し、情報を集めることが重要です。
4-3. 本人との話し合い
お子さんの希望や、不安な点について、じっくりと話し合い、本人の意思を尊重しましょう。一方的に進路を決めるのではなく、お子さんと一緒に考え、納得のいく選択をすることが重要です。
4-4. サポート体制の構築
学校との連携、専門家との連携など、お子さんを支えるためのサポート体制を構築しましょう。学校の先生や、スクールカウンセラーなど、相談できる相手を見つけておくことも重要です。
4-5. 焦らないこと
進路選択は、時間のかかるプロセスです。焦らず、お子さんのペースに合わせて、じっくりと検討しましょう。お子さんの成長を信じ、温かく見守ることが大切です。
5. まとめ：最適な進路選択のために
高機能発達障害のお子さんの高校進学は、様々な選択肢があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。お子さんの特性、希望、そして将来の目標を考慮し、最適な進路を選択することが重要です。
特別支援学校、普通科高校、通信制高校など、それぞれの選択肢について、メリットとデメリットを比較検討し、お子さんに合った進路を見つけましょう。
今回のケースでは、普通科への進学を検討するにあたり、支援学級から普通科への移行が不安であること、本人が普通科への進学を希望していないことから、まずは通信制高校を検討し、学校に相談してみるのが良いでしょう。通信制高校は、本人のペースで学習を進めることができ、人間関係の悩みも軽減される可能性があります。また、スクーリングや、オンラインでの授業などを通して、社会とのつながりを保つこともできます。
もし、通信制高校が難しい場合は、普通科高校に進学し、学校のサポート体制を利用しながら、学習を進めることもできます。学校見学や、体験入学に参加し、学校の雰囲気や、サポート体制について確認しましょう。
いずれの選択肢を選ぶにしても、お子さんの特性を理解し、本人の意思を尊重し、学校や、専門家と連携しながら、最適な進路を見つけることが重要です。
進路選択は、お子さんの将来を左右する重要な決断です。焦らず、じっくりと検討し、お子さんにとって最良の選択をしてあげてください。
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