保育士の経験から考える、子どもの障がいと向き合う保育のあり方
保育士の経験から考える、子どもの障がいと向き合う保育のあり方
この記事では、保育士の経験を通して、子どもの障がいに関する疑問や悩みにお答えします。保育現場で起こりがちな、子どもの特性の見過ごしや、保護者とのコミュニケーションの難しさについて、具体的な事例を交えながら、より良い保育のあり方を模索していきます。子どもの成長をサポートする上で、保育士として、どのように子どもたち一人ひとりに寄り添い、保護者との信頼関係を築いていくことができるのか、一緒に考えていきましょう。
保育士の方、またはされていた方に質問です。
私は、保育園に通っていた2、3歳の頃、極度の恐がりで、保育園の散歩の時間に坂道を前に「恐い、恐い」と言っていたそうです。また、公園で遊ぶ時間に他の園児が次々とアスレチックで遊ぶ中、私だけは恐がって鎖につかまりながら、おそるおそる進むような感じだったそうです。
それゆえ、保育士さんから、母は「車での移動ばかりで、歩かせていないでしょ」、「公園で遊ばせていないでしょ」と言われたそうです。実際は、当時車を持っておらず、保育園入園前は、毎日のように公園に連れて行っていたということで、母は反論したそうですが、保育士さんは府に落ちなかったみたいです。
私は、後に保育者を経て、先天的な障がいがあることを知りました。他の園児と同じようには遊べなかった理由は、それゆえなのですが、担任の保育士さんは複数いても誰も気がつかず、親のしつけの問題だと思ってしまったということかと 思って、腹立たしい気持ちがあります。
長文になってしまいましたが、ご自分が担当のクラスの子どもが障がいをもっていることに全く気がつかず、上の学年に上げてしまった、もしくは小学校の先生から指摘があって初めて知ったというケースはありましたか？
知的には問題なく、大学で教員免許も取れましたので、それで保育者になれるなんておかしいというような発言はやめてください。
保育士として、子どもの障がいを見過ごしてしまう背景
保育士として働く中で、子どもの障がいを見過ごしてしまうケースは残念ながら存在します。これは、保育士個人の能力不足だけでなく、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こる問題です。ここでは、その背景にある主な要因をいくつか解説します。
1. 専門知識の不足
保育士養成課程では、障がい児保育に関する科目が限られていることがあります。そのため、発達障がいやその他の障がいに関する専門的な知識が不足している保育士も少なくありません。障がいの種類や特性、対応方法について十分な知識がないと、子どもの異変に気づきにくく、適切な対応が遅れてしまう可能性があります。
2. 観察力の限界
保育現場では、多くの子どもたちを同時に見守る必要があります。一人ひとりの子どもの行動を注意深く観察する時間的余裕がない場合、些細な異変に気づきにくいことがあります。特に、発達の遅れや障がいの兆候は、早期には目立ちにくく、見過ごされてしまう可能性があります。
3. 連携不足
保護者との情報共有が不足している場合、子どもの家庭環境や生育歴に関する情報が得られず、障がいの可能性に気づく機会を逃してしまうことがあります。また、園内の他の保育士や、専門機関との連携がうまくいかない場合も、早期発見が難しくなる要因となります。
4. 偏見や固定観念
「子どもは皆同じように成長する」「親のしつけが悪いから」といった偏見や固定観念があると、子どもの行動を客観的に見ることができず、障がいの可能性を疑うことが難しくなります。このような考え方は、子どもの特性を理解し、適切な対応をとることを妨げる要因となります。
5. 多忙な業務と人員不足
保育士は、日々の保育業務に加えて、書類作成や行事の準備など、多くの業務をこなしています。人員不足の状況下では、一人ひとりの子どもに十分な時間を割くことが難しく、障がいの早期発見が遅れる原因となります。
子どもの異変に気づくための具体的な方法
子どもの障がいを見過ごさないためには、日々の保育の中で意識すべきポイントがあります。以下に、具体的な方法をいくつか紹介します。
1. 丁寧な観察
子どもの行動や言動を注意深く観察し、他の子どもたちとの違いに気づくことが重要です。特定の行動を繰り返す、言葉の発達が遅い、運動能力に偏りがあるなど、気になる点があれば、記録を残し、専門家への相談を検討しましょう。
2. 保護者とのコミュニケーション
保護者とのコミュニケーションを密にし、子どもの家庭環境や生育歴に関する情報を積極的に収集しましょう。子どもの様子について、気になる点があれば、率直に伝え、意見交換を行うことで、早期発見につながる可能性があります。保護者との信頼関係を築くことは、子どもの成長をサポートする上で非常に重要です。
3. 記録の活用
子どもの行動や発達に関する記録を詳細に残すことで、変化に気づきやすくなります。日々の記録に加えて、定期的に発達チェックを行い、成長の過程を把握することも有効です。記録は、保護者との情報共有や、専門家への相談の際にも役立ちます。
4. 専門家との連携
気になる点があれば、積極的に専門家（医師、心理士、言語聴覚士など）に相談しましょう。専門家の意見を聞くことで、子どもの状態を客観的に把握し、適切な対応方法を見つけることができます。園内での連携だけでなく、園外の専門機関との連携も積極的に行いましょう。
5. 研修への参加
障がい児保育に関する研修やセミナーに積極的に参加し、専門知識を深めましょう。最新の情報や、具体的な対応方法を学ぶことで、保育の質を向上させることができます。また、他の保育士との情報交換も、学びを深める良い機会となります。
保護者との信頼関係を築くために
保護者との信頼関係は、子どもの成長をサポートする上で不可欠です。信頼関係を築くためには、以下の点を意識しましょう。
1. 丁寧なコミュニケーション
子どもの様子について、保護者と積極的にコミュニケーションを取りましょう。良い点だけでなく、気になる点も率直に伝え、一緒に子どもの成長を考える姿勢を示すことが大切です。保護者の話をよく聞き、共感することで、信頼関係が深まります。
2. 情報の共有
子どもの園での様子を、写真や動画、日々の記録を通して積極的に共有しましょう。子どもの成長を一緒に喜び、悩みや不安を共有することで、保護者は安心感を抱き、信頼関係が深まります。
3. 専門知識の提供
障がいに関する専門知識を学び、保護者に情報提供することで、保護者の不安を軽減し、適切なサポートにつなげることができます。専門機関を紹介したり、相談に乗ったりすることも、保護者からの信頼を得る上で重要です。
4. 寄り添う姿勢
保護者の気持ちに寄り添い、共感する姿勢を示しましょう。子どもの障がいを受け入れることは、保護者にとって大きな葛藤を伴うことがあります。保護者の気持ちを理解し、寄り添うことで、信頼関係が深まり、共に子どもの成長を支えることができます。
5. 秘密厳守
保護者から得た情報は、秘密厳守で扱いましょう。信頼関係を築く上で、これは非常に重要な要素です。保護者のプライバシーを尊重し、安心して相談できる環境を整えましょう。
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事例から学ぶ、障がい児保育の課題と解決策
実際の事例を通して、障がい児保育における課題と、それに対する具体的な解決策を見ていきましょう。
事例1：発達の遅れに気づかず、小学校入学後に判明
ある保育園で、言葉の発達が遅いA君がいました。しかし、保育士は「男の子は言葉が遅いもの」という固定観念を持っており、専門家への相談をしませんでした。小学校に入学後、学習面での困難が見つかり、発達障がいと診断されました。
解決策：
- 言葉の発達に関するチェックリストを作成し、定期的に評価する。
- 保護者との情報共有を密にし、気になる点があれば専門家に相談する。
- 保育士向けの研修を実施し、発達障がいに関する知識を深める。
事例2：多動性のあるB君への対応に苦慮
多動性のあるB君は、保育園での活動に集中できず、他の子どもたちとのトラブルも多く、保育士は対応に苦慮していました。保護者との連携も十分ではなく、B君への適切なサポートができていませんでした。
解決策：
- B君の行動を詳細に記録し、専門家（医師、心理士など）に相談する。
- 保護者との面談を定期的に行い、B君の特性や対応方法について情報共有する。
- B君が集中できるような環境を整え、個別の活動を取り入れる。
事例3：保護者とのコミュニケーション不足による誤解
C君は、特定の食べ物に対するこだわりが強く、給食を食べないことがありました。保育士は、C君の保護者に対して「偏食がひどい」と伝えましたが、保護者は「アレルギーがあるかもしれない」と反論し、誤解が生じました。
解決策：
- 保護者との丁寧なコミュニケーションを心がけ、子どもの食に関する情報を詳しく聞き取る。
- アレルギーの可能性を考慮し、医師に相談する。
- C君の食に関する記録を詳細に残し、保護者と共有する。
保育士としての成長を促すために
保育士として成長し、より良い保育を提供するためには、継続的な学びと自己研鑽が不可欠です。以下に、そのための具体的な方法を紹介します。
1. 研修への参加
障がい児保育に関する研修やセミナーに積極的に参加し、専門知識を深めましょう。最新の情報や、具体的な対応方法を学ぶことで、保育の質を向上させることができます。また、他の保育士との情報交換も、学びを深める良い機会となります。
2. 自己学習
書籍やインターネットを活用して、障がいに関する知識を自主的に学びましょう。専門家の意見や、他の保育士の経験談を参考にすることで、理解を深めることができます。また、子どもの発達に関する情報を収集し、保育に役立てましょう。
3. 経験の振り返り
日々の保育を振り返り、良かった点や改善点を見つけましょう。うまくいかなかった事例については、原因を分析し、今後の対応に活かしましょう。記録をつけ、定期的に見返すことで、自身の成長を実感することができます。
4. 仲間との連携
他の保育士と情報交換し、悩みを共有しましょう。互いに学び合い、支え合うことで、保育士としてのモチベーションを維持し、質の高い保育を提供することができます。園内だけでなく、園外の保育士との交流も大切です。
5. 専門家への相談
困ったことや悩んでいることがあれば、積極的に専門家（医師、心理士、言語聴覚士など）に相談しましょう。専門家の意見を聞くことで、客観的な視点を得て、適切な対応方法を見つけることができます。また、専門家との連携を通じて、知識やスキルを向上させることができます。
まとめ：子どもの成長を支えるために
保育士として、子どもの障がいを見過ごさないためには、専門知識、観察力、保護者との連携、そして継続的な学びが不可欠です。子どもの異変に気づき、適切な対応をとることで、子どもの健やかな成長をサポートすることができます。保護者との信頼関係を築き、共に子どもの成長を喜び、悩みや不安を共有することが大切です。保育士としての経験を活かし、子どもたち一人ひとりに寄り添い、温かい保育を提供していきましょう。
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